非正規雇用でも家族を扶養に入れたら税金は安くなりますか?
Q: 非正規雇用でも家族を扶養に入れたら税金は安くなりますか?
A: はい、非正規雇用の方でも、一定の条件を満たせばご家族を扶養に入れることで、所得税や住民税の負担を軽減できる可能性があります。主に「扶養控除」や「配偶者控除」、「配偶者特別控除」といった制度が該当します。これらの制度は、納税者の雇用形態に関わらず、所得の状況に応じて適用されます。
扶養控除とは何か
扶養控除とは、納税者が所得税法上の扶養親族がいる場合に、所得から一定の金額を差し引くことができる「所得控除」の一種です。この控除によって課税される所得金額が少なくなるため、結果として所得税や住民税の納税額が軽減されます。
扶養控除の対象となる家族(扶養親族)の条件
扶養控除の対象となる扶養親族には、以下の条件があります。
- 配偶者以外の親族であること: 6親等内の血族および3親等内の姻族、または都道府県知事から養育を委託された里子や市町村長から養護を委託された老人であること。
- 納税者と生計を一にしていること: 日常生活の資を共にしていることを指します。必ずしも同居している必要はありませんが、生活費を負担しているなど、一体とみなせる状態であることが必要です。
- 年間の合計所得金額が48万円以下であること: 給与収入のみの場合、年収が103万円以下であれば、給与所得控除55万円を差し引くと所得金額が48万円以下となるため、この条件を満たします。
- 青色申告者の事業専従者として、その年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと、または白色申告者の事業専従者ではないこと: 特定の事業を手伝い、その対価として給与を受け取っている場合は対象外です。
- 年齢が16歳以上であること: 扶養控除の対象は、その年の12月31日現在で16歳以上の親族です。
これらの条件を満たす扶養親族の年齢に応じて、控除額が異なります。例えば、16歳以上19歳未満の場合は一般扶養親族として38万円、19歳以上23歳未満の特定扶養親族は63万円などが適用されます。
配偶者控除・配偶者特別控除について
配偶者を扶養に入れる場合は、扶養控除ではなく「配偶者控除」または「配偶者特別控除」が適用されます。
- 配偶者控除: 納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下で、配偶者の年間の合計所得金額が48万円以下(給与収入のみの場合103万円以下)である場合に適用されます。控除額は納税者本人の所得金額や配偶者の年齢によって異なります。
- 配偶者特別控除: 配偶者の年間の合計所得金額が48万円を超え133万円以下である場合に、配偶者控除の代わりに適用される控除です。こちらも納税者本人の所得金額と配偶者の所得金額に応じて段階的に控除額が設定されています。
非正規雇用の方が利用する場合の注意点
非正規雇用の方でも、ご自身の年間所得が一定額以上あり、扶養親族や配偶者の要件を満たしていれば、これらの控除を利用することができます。
- 所得要件の確認: 扶養親族や配偶者の所得要件を正確に把握することが重要です。例えば、給与収入が103万円を超えてしまうと、扶養控除や配偶者控除の対象から外れてしまいます。
- 社会保険の扶養との違い: 税法上の扶養と社会保険(健康保険・厚生年金)の扶養は、それぞれ条件が異なります。一般的に社会保険の扶養は年間収入が130万円未満(場合によっては106万円未満)が目安とされており、税法上の扶養とは基準が別物として考える必要があります。両方の条件を満たしているか、それぞれ確認することが大切です。
- ご自身の所得額: ご自身の課税所得(所得から各種控除を差し引いた金額)が低い場合、扶養控除を適用しても税額が大きく変わらない、あるいは税額が発生しないため控除の恩恵を受けにくい場合もあります。
申請手続きについて
扶養控除や配偶者控除などを利用するには、以下の手続きを行います。
- 年末調整: 勤務先に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出することで、年末調整時に控除が適用されます。
- 確定申告: 年末調整を受けていない場合や、年間の給与所得以外に所得がある場合は、ご自身で確定申告を行うことで控除が適用されます。確定申告書に扶養親族に関する情報を記載し、所轄の税務署に提出します。
ご自身の状況に合わせて、これらの制度を適切に活用することで、税金負担の軽減につながります。不明な点がある場合は、税務署や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。